
個別支援計画をつくったら終わり、ではありません。計画どおりに支援が進んでいるかを定期的に確認し、記録に残す。モニタリングは、支援の質を支える工程であると同時に、担当者にとってはまとまった時間を必要とする仕事でもあります。
モニタリング記録づくりで時間を取っているのは、実は「文章を書くこと」だけではありません。半年分の支援記録を読み返し、「この目標について、変化を示す記載はどこにあったか」を探すことに、多くの時間が消えていきます。この「探して並べる」工程は、生成AIが比較的活用しやすい領域のひとつです。ただし、出力の確認と修正は必須です。
この記事では、モニタリング記録づくりをAIに任せられる工程と任せてはいけない工程を整理したうえで、架空ケースで試せる3ステップの手順と例文を紹介します。計画づくりそのものについては「個別支援計画の下書きをAIで作るには?」もあわせてご覧ください。
この記事でわかること
先に結論
AIに任せられるのは「探す・並べる・文章にする」の下書きまで。評価、計画変更、記録の最終責任は人にあります。合言葉は「下書きはAIと。判断と支援は、人が。」
基本の型は「期間中の記録 → 目標ごとに並べ直す」。ゼロから半年を思い出す負担を減らし、人は変化の解釈に集中できます。
練習は架空ケースで。実データを扱うのは、法人の個人情報保護規程にもとづく承認された環境が前提です。
01 / WHY
時間がかかる理由を分解すると、多くの事業所で共通しています。日々の支援記録、申し送り、ヒヤリハット、面談メモ、出欠状況などに情報が分散し、目標ごとにまとめ直す作業が発生します。
「就労に向けた体力づくり」のような目標について、半年分の記録から関連する記載を拾い出す作業は、読み返しそのものに時間を要します。さらに、頭の中に変化のイメージはあるのに、達成状況・要因・今後の方針を、様式の枠に収まる文章にする段階で手が止まります。
モニタリングの実施頻度や様式は、サービス種別や自治体の運用によって異なります。必ず自事業所に適用される指定基準・自治体の運用をご確認ください。 頻度そのものを減らす方向の解決は現実的ではないからこそ、「探して並べる工程」の負担を減らすアプローチに注目が集まっています。
02 / CAN & DON'T
生成AIは、与えた文章を「探す・要約する・並べ直す・整える」ことが比較的得意です。一方で、書かれていないことの真偽は判断できず、誤った要約や省略も起こります。線引きを最初に共有しておくことが、安全に使う第一歩です。
AIに下書きを任せられる工程
任せてはいけない工程
大切なのは、AIの出力を必ず「ドラフト(下書き)」として扱うことです。モニタリング記録は、支援の方向性を決める根拠であり、運営指導で確認される書類でもあります。何を書き、計画をどうするかを決め、記載の責任を持つのは、利用者を知っている職員と事業所です。
03 / 3 STEPS
この章の例文は架空ケース専用です。実在する利用者・家族・職員の氏名、障がい特性、体調、服薬、行動、家庭状況、利用日、事業所名など、個人を特定・推測できる情報は入力しないでください。
半年分を読み返して該当箇所を探す工程を、下書きレベルで肩代わりさせます。ここでは意図的に「評価を書かせない」のが肝です。
「根拠が不足」と言わせる指示を入れておくと、書けてしまう文章ではなく確認すべき箇所が浮かび上がります。達成/未達の評価そのものは、必ず人が記録の原本にあたって判断してください。
会議の結論をAIに出させないことが重要です。計画を継続するか見直すかは、本人の意向確認を含めた合議で決めるべき事項です。AIは「検討すべき論点の抜けを減らす」ために使います。
04 / SAFETY
利用者の実データは入力しない: この記事の例文は架空ケースの練習用です。氏名を「Aさん」に置き換えただけでは、個人情報でなくなるとは限りません。
実データを扱うなら、法人として承認された環境と手続きで: 支援記録には、障がい特性・健康状態・服薬・家族状況など、要配慮個人情報に該当し得る情報が含まれます。利用契約、ログ保存、国外移転、委託先管理、アクセス権限を確認し、責任者が承認した環境に限定してください。
AIの出力は必ず人が原本と突き合わせてから記録に使う: 要約では情報が落ちます。ヒヤリハット・事故・体調変化など重要事象は、要約だけで済ませず記録の原本を確認してください。
様式・必須項目は自事業所の基準に合わせる: モニタリング記録の様式・記載項目・保存期間は、サービス種別や自治体の運用によって異なります。AIの出力をそのまま様式に流し込まず、自事業所の必須項目を満たしているかを人が確認してください。
安全ルールの詳しい考え方は「支援記録・ケース記録をAIで書く」の安全ルール章もご覧ください。
05 / START SMALL
WelvieAIでは、仮想ケース演習を通じて、記録・要約・モニタリングの下書きづくりと、人が確認する運用設計を体系的に学べます。
06 / SUMMARY
モニタリング記録で時間を取りがちな「期間中の記録から根拠を探して並べる」工程は、AIを下書き補助として使いやすい領域です。ただし、変化の評価・計画の継続や見直しの判断・記載の責任は、職員と事業所にあります。
手順は3ステップです。記録を目標ごとに並べ直す、達成状況を下書きする、次期計画の論点を出す。まずは架空ケースで試してください。「根拠が不足」と言わせる指示を入れると、書けてしまう文章ではなく確認すべき箇所が見えます。
本記事は2026年8月3日時点の情報に基づきます。制度・各サービスの仕様は変更される場合があります。最新の情報は一次情報をご確認ください。AIの出力は下書き・補助であり、記録・計画の最終判断と確定は人 (作成者) が行います。個人情報 (特に要配慮個人情報) の取り扱いは、個人情報保護法および事業所の規程に従ってください。
07 / FAQ
サービス種別や自治体の運用によって異なります。多くのサービスでは6か月ごと、就労移行支援など一部は3か月ごとと定められています。また、利用者の状況が変化した場合には随時見直しが必要になることもあります。自事業所に適用される指定基準と自治体の運用を必ずご確認ください。この記事はAIの使い方を扱うものであり、制度の解釈をお示しするものではありません。
おすすめしません。AIの出力は下書きです。記録の原本と突き合わせて事実を確認し、自事業所の様式の必須項目を満たしているかを人が確認したうえで、記載内容を決めてください。モニタリング記録は支援の方向性を決める根拠であり、運営指導で確認される書類でもあります。
まずはAIで整えた文章を人が確認してから記録システムに入力する、システムの外で完結する使い方が安全です。記録システムとの直接連携は、各システムの仕様や利用規約の確認が必要です。
記録の量や様式によって幅があるため、一概には言えません。WelvieAIの研修設計上のモデルケースでは、記録の要約・整理について作業時間の短縮を想定しています(モデルケースの試算であり、成果や削減時間を保証するものではありません。実際の効果は記録量・様式・確認体制・利用環境によって異なり、個人差があります)。
あなたの右腕、作りませんか。
記録・要約の下書きにAIを活用し、
確認と判断に集中しやすい現場をつくる。
障がい福祉に特化したAI研修「WelvieAI」。2ヶ月・全8回(計16時間・完全オンライン)で、仮想ケース演習を通じて、現場の業務改善を“自分たちで”進めるための基礎と実践を学びます。開講日程と受付状況は、開講スケジュールをご覧ください。
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この記事を書いた人
杉本 悠飛(すぎもと ゆうひ)
株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者
就労継続支援A型事業所「テクキャリ」 取締役
障がい福祉に特化した動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上の事業者・のべ20,000名以上の受講を支援。自社グループでは就労継続支援A型事業所「テクキャリ」の運営に取締役として携わり、制度対応と現場運営の両方を実務として経験しています。虐待防止・身体拘束適正化・処遇改善加算・運営指導対策などの研修コンテンツ企画を統括。2026年からは障がい福祉特化のAI研修「WelvieAI(ウェルビーAI)」の立ち上げも担当しています。