
支援のあとに毎日、申し送りの準備と日報づくりで机に向かう時間が積み重なっていく——障がい福祉の現場で、記録まわりの負担はもっともよく聞く悩みのひとつです。記録そのものをなくすことはできません。ただし、記録の工程を分解すると、時間を取っているのは「何があったか」を思い出すことよりも、それを読める文章にすることだったりします。この「文章にする」工程は、生成AIが比較的活用しやすい領域のひとつです(ただし、出力の確認と修正は必須です)。
この記事では、申し送り・日報づくりのうちAIに下書きを任せられる工程と任せてはいけない工程を整理したうえで、架空ケースで試せる例文(プロンプト)を3つ紹介します。AI活用の全体像から知りたい方は、先に「障がい福祉でAIは何ができる?(完全ガイド)」をご覧ください。
この記事でわかること
先に結論
AIに任せられるのは「文章化・要約」の下書きまで。何があったかの事実確認と、伝える・伝えないの判断、最終的な記載の責任は人にあります。合言葉は「下書きはAIと。判断と支援は、人が。」
基本の型は「箇条書きメモ→整った文章」。ゼロから文章を書く負担を軽くし、人は出てきた下書きの確認に集中できます。
練習は架空ケースで。利用者の実データを扱うのは、法人の個人情報保護規程にもとづく承認された環境が前提です。
01 / WHY
時間がかかる理由を分解すると、多くの事業所で共通しています。
また、報酬改定や加算要件、自治体・法人内の運用によって、記録・書類の確認事項が増えることもあります。「記録を減らす」方向の解決は簡単ではありません。だからこそ、記録の量ではなく「文章にする工程」の負担を減らすアプローチに注目が集まっています。
02 / WHAT AI CAN DO
生成AI(ChatGPTやClaudeなど)は、与えたメモや文章を「整える・要約する・並べ直す」ことが比較的得意です。一方で、書かれていないことの真偽は判断できず、誤った要約や省略も起こります。線引きを最初に共有しておくことが、安全に使う第一歩です。
| AIに下書きを任せられる工程 | 任せてはいけない工程 |
|---|---|
| 走り書きメモを読める文章に整える | 内容が事実かどうかの確認 |
| 長い記録を要点だけに要約する | 記載する・しないの最終判断 |
| 誤字・表記ゆれ・敬体を整える | ヒヤリハット・事故など重要事象の評価や報告の判断 |
| 観点別(食事・体調・活動など)に並べ直す | 利用者・ご家族への説明 |
大切なのは、AIの出力を必ず「ドラフト(下書き)」として扱うことです。記録は支援の判断や運営指導・報酬請求の根拠にも関わります。最終的に何を書き、何を申し送るかを決め、記載の責任を持つのは、現場を知っている職員と事業所です。
03 / 3 PROMPTS
※この章の例文は架空ケース専用です。実在する利用者・家族・職員の氏名、障がい特性、体調、服薬、行動、家庭状況、利用日、事業所名など、個人を特定・推測できる情報は入力しないでください。実務で使うときは、4章の安全ルール(法人の規程・承認された環境)を満たしたうえで、自事業所の記録様式・必須項目・記録要件に合わせて編集してください。プロンプトの基本の型(指示・文脈・例示・出力形式)は「個別支援計画のAIプロンプト例文5選」で詳しく解説しています。
ポイント: 「どう書くか」で手が止まる時間を減らす助けになります。人の仕事は、出てきた文章が事実と合っているかの確認に変わります。「推測で補わない」の一文は必ず残してください。※3項目は練習用の簡易例です。実務では自事業所の様式・必須項目に合わせてください。
ポイント: 要約は全体像をつかむ補助として使い、重要事項・個別対応・体調変化・ヒヤリハットなどは必ず原文と口頭の申し送りで確認してください。重要度の最終判断を人に残す設計にしているのが、この例文の肝です。
ポイント: 書きっぱなしになりがちな日報が、会議やモニタリングの「材料」に変わります。変化をどう評価し、支援をどうするかを決めるのは会議=人の仕事です。
こうしたプロンプトの“型”を自分の業務に合わせて設計できるようになるのが、WelvieAIの研修です。仮想ケース演習で、記録・要約への活用を体系的に学べます。
04 / SAFETY
利用者の実データは入力しない。この記事の例文は架空ケースの練習用です。氏名を「Aさん」に置き換えただけでは、個人情報でなくなるとは限りません(体調・出来事・家族構成などの組合せで特定できる場合があります)。
実データを扱うなら、法人として承認された環境と手続きで。支援記録には、障がい特性・健康状態・服薬・家族状況など、要配慮個人情報に該当し得る情報が含まれます。実データをAIサービスに入力する場合は、法人の個人情報保護規程、利用契約の内容(学習利用の有無・ログの保存期間・国外移転の有無)、委託先の管理、アクセス権限を確認し、責任者が承認した環境に限定してください。判断に迷う場合は入力せず、架空ケースの練習にとどめてください。
AIの出力は必ず人が確認してから記録・申し送りに使う。とくにヒヤリハット・事故・体調急変などの重要事象は、要約で情報が落ちること自体がリスクです。原文確認と口頭補足を省略しないでください。
安全ルールの詳しい考え方(匿名化の限界・環境の選び方)は「個別支援計画のAIプロンプト例文5選」の安全ルール章もご覧ください。
05 / HOW TO START
定着しにくいパターンのひとつが、最初から全員・全記録で始めようとすることです。
06 / SUMMARY
計画づくりへの活用は「個別支援計画の下書きをAIで作るには?」、業務全体の使いどころは「障がい福祉のAI活用 事例・アイデア集16選」をご覧ください。
07 / FAQ
組み合わせられます。スマホの音声入力で話した内容をメモとして残し、例文1で整文する流れは、キーボード入力が苦手な方にも向いています。ただし実務で使う場合は、利用者情報を含む内容を共有スペースや共有端末で音声入力しない、録音・文字起こしデータの保存先を確認する、法人が承認した端末・サービスに限定する、といったルールが必要です。
架空ケースでの練習は無料版でも試せます。ただし業務での利用は、入力内容が学習に使われない設定・プランを法人として選ぶことが前提です。
まずはAIで整えた文章を人が確認してから記録システムに入力する、システムの外で完結する使い方が安全です。記録システムとの直接連携は、各システムの仕様や利用規約の確認が必要です。
記録の量や書き方によって幅があるため、一概には言えません。WelvieAIの研修設計上のモデルケースでは、申し送り・議事録の要約について、自動要約による作業時間の短縮を想定しています(モデルケースの試算であり、成果や削減時間を保証するものではありません。実際の効果は記録量・様式・確認体制・利用環境によって異なり、個人差があります)。
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