「記録を書く時間がなくて、支援のあとに残業になる」。障がい福祉の現場で聞かれる悩みのひとつが、支援記録・ケース記録の作成負担です。この記事では、福祉現場ならではの個人情報の注意点とともに、音声入力と生成AIを使った整文の流れを解説します。
手元のスマホと生成AIを使い、まずは実在する利用者の情報を含まない架空ケースで「音声入力→整文」の流れを試すことができます。実際の支援記録に利用する前に、事業所として使用サービス、端末、入力可能な情報、本人への説明・同意の要否、確認・保存・削除、事故時の対応を定め、責任者の承認を得てください。
音声入力→整文とは、話した内容をスマホ等でテキスト化し、生成AIが支援記録の形式に整える方法です。 AIが作るのはあくまで「下書き」まで。内容の確認と確定は必ず人が行います。
この記事でわかること
先に結論
支援記録は「話して→AIで整文→人が確認」の3ステップで下書きできます。AIが作るのは下書きであり、記録の確定は必ず人が行います。
まずは架空ケースで練習する。実在する利用者を識別できる情報はAIに入力しないことが前提です。
事業所のルールを決めてから使う。端末、サービス、入力範囲、確認・保存・削除まで事前に定めます。
01 / WHY
記録は、支援の質を支える土台であると同時に、現場で負担になりやすい業務のひとつです。株式会社フェアテクノロジーズは、障がい福祉に特化した動画研修「ウェルビーラーニング」を累計1,000社以上の事業所へ提供しており、そのなかで「記録・書類作成に時間がかかる」という相談を受けることがあります。
ここで難しいのは、速さのために記録の中身を削ると、支援の根拠が残らなくなるという点です。運営指導や引き継ぎで効いてくるのは、まさにその「残っている記録」です。つまり必要なのは、記録を減らすことではなく、下書きにかかる時間を減らすこと。音声入力×AIが役に立つのは、この一点においてです。
専用の記録AIシステムを導入する選択肢もありますが、コストがかかります。まずは手元の生成AIで「音声入力→整文」の型を身につけておくと、どのツールを使う場合でも応用が利きます。 障がい福祉の支援記録は「その場の様子を、事実として、あとから読める形で」残すことが目的です。この目的はツールが変わっても変わりません。
02 / 3 STEPS
周囲に第三者がいる場所や移動中は、利用者に関する内容を音声入力しないでください。事業所が承認した端末・アプリを使用し、音声データや文字起こし結果の保存先、クラウド同期、音声認識事業者への送信、端末の認証・紛失対策を事前に確認します。私物端末や未承認アプリには実在する利用者の情報を入力しません。
音声入力したテキストを生成AIに渡し、記録の形式に整えてもらいます。プロンプト (指示文) の例は次のとおりです。
※上の例は架空のケースです。実在する利用者を識別できる情報はAIに入力しないでください (後述)。
AIの出力は下書きです。事実と違う箇所がないか、ニュアンスが変わっていないかを記録者本人が確認し、修正してから記録として確定します。最終責任は作成者にあります。 下書きはAIと。判断と支援は、人が。
03 / PRIVACY
福祉現場の記録には、障がいや心身の状態など、個人情報保護法で「要配慮個人情報」とされる情報が含まれます。取り扱いを誤ると本人の不利益に直結するため、生成AIの利用では次の3つを徹底してください。
実在する利用者を識別できる情報を入力しない: 氏名、住所、生年月日、顔写真だけでなく、障がい・疾病、服薬、家族関係、利用日時、場所、所属、具体的な出来事など、他の情報と組み合わせて本人を識別できる情報も対象です。「Aさん」への置換だけでは十分とは限りません。原則として架空ケースを使用し、実データを扱う必要がある場合は、事業所が承認した環境・手順と法的根拠を事前に確認してください。
サービスの契約条件とデータ取扱いを事前に確認する: 「学習に使われない設定」や「法人向けプラン」であることだけを理由に、要配慮個人情報を入力してよいとは判断できません。本人同意の要否、利用目的、AI事業者との関係が委託・第三者提供のどちらに当たるか、国外の事業者・サーバーへの提供、保存期間、再委託、削除方法、安全管理措置を事業所として確認してください。確認が完了していないサービスには、実在する利用者の情報を入力せず、架空ケースのみを使用します。
事業所としてルールを決めてから使う: 個人の判断でバラバラに使い始めるのが最も危険です。「入力してよい情報・ダメな情報」「使ってよい業務」を事業所のルールとして明文化しましょう。
04 / QUALITY
こうしたプロンプトの“型”を自分の業務に合わせて設計できるようになるのが、WelvieAIの研修です。仮想ケース演習で、記録・要約への活用を体系的に学べます。
05 / SUMMARY
手元のスマホと生成AIを使い、まずは実在する利用者の情報を含まない架空ケースで「音声入力→整文」の流れを試すことができます。実際の支援記録に利用する前に、事業所として使用サービス、端末、入力可能な情報、本人への説明・同意の要否、確認・保存・削除、事故時の対応を定め、責任者の承認を得てください。
WelvieAI(ウェルビーAI)は、障がい福祉に特化したAI実践研修です。支援記録・個別支援計画などの業務を想定した仮想モデル事業所のケースを使い、AIへの指示、出力の確認、個人情報を守る運用ルールの設計を全8回のライブ研修で学びます。研修中に、受講者の事業所が保有する実際の利用者情報や支援記録を生成AIへ入力することはありません。運営会社の株式会社フェアテクノロジーズは、障がい福祉向け動画研修「ウェルビーラーニング」を累計1,000社以上に提供してきました。その現場知見が研修の土台です。
本記事は2026年7月29日時点の情報に基づきます。制度・各サービスの仕様は変更される場合があります。最新の情報は一次情報をご確認ください。AIの出力は下書き・補助であり、記録・計画の最終判断と確定は人 (作成者) が行います。個人情報 (特に要配慮個人情報) の取り扱いは、個人情報保護法および事業所の規程に従ってください。
06 / FAQ
AI出力を記録者本人が確認・修正することは必須ですが、それだけで利用できるとは限りません。事業所が承認したサービスと運用に限定し、入力する情報の範囲、利用目的、本人への説明・同意の要否、委託・第三者提供・国外移転、安全管理措置、保存・削除条件を確認してください。AIは下書き・補助にとどめ、事実確認、専門的判断、記録の確定は担当者が行います。判断に迷う場合は、事業所の個人情報保護責任者または専門家に確認してください。
専用システムがなくても、事業所が承認した端末・アプリと生成AIを使い、架空ケースで流れを試すことはできます。周囲に第三者がいる場所や移動中は、利用者に関する内容を音声入力しないでください。音声データや文字起こし結果の保存先、クラウド同期、音声認識事業者への送信、端末の認証・紛失対策を事前に確認し、私物端末や未承認アプリには実在する利用者の情報を入力しません。
氏名を「Aさん」に置き換えるだけで安全になるとは限りません。年齢、日時、場所、障がい・疾病、家族関係、具体的な出来事などの組合せから本人を識別できる情報も入力しないよう、事業所の基準に沿って十分に一般化する必要があります。実データを生成AIへ入力する運用は、利用目的、本人への説明・同意の要否、委託・第三者提供・国外移転、安全管理措置、サービスの契約条件を事前に確認してください。AI上では原則として架空ケースを用い、本人との対応表を作る場合はAIへ送信せず、アクセス制限された環境で分離管理します。
効果は事業所の記録量や運用により異なります。当社のモデルケースでは、記録・書類の下書き作成をAIに任せることで作成時間の圧縮を見込んでいます (効果には個人差があり、成果を保証するものではありません)。
関連サービス
動画研修「ウェルビーラーニング」
障がい福祉事業所向けの動画eラーニング。法定研修・新人教育を、スマホでいつでも・5分から学べます。全国1,000社・のべ20,000名以上が利用。WelvieAIと同じ株式会社フェアテクノロジーズが運営しています。
※1,000社等はウェルビーラーニングの実績であり、WelvieAIの受講実績ではありません。
あなたの右腕、作りませんか。
記録・要約の下書きにAIを活用し、
確認と判断に集中しやすい現場をつくる。
障がい福祉に特化したAI研修「WelvieAI」。2ヶ月・全8回(計16時間・完全オンライン)で、仮想ケース演習を通じて、現場の業務改善を“自分たちで”進めるための基礎と実践を学びます。第1期は2026年9月11日開講・第2期は2026年10月6日開講・受付中(最新の受付状況は開講スケジュールをご覧ください)。
資料請求・無料相談はこちら助成金の活用可能性についてもご案内します(要件・審査あり・受給を保証するものではありません)
この記事を書いた人
杉本 悠飛(すぎもと ゆうひ)
株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者
就労継続支援A型事業所「テクキャリ」 取締役
障がい福祉に特化した動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上の事業者・のべ20,000名以上の受講を支援。自社グループでは就労継続支援A型事業所「テクキャリ」の運営に取締役として携わり、制度対応と現場運営の両方を実務として経験しています。虐待防止・身体拘束適正化・処遇改善加算・運営指導対策などの研修コンテンツ企画を統括。2026年からは障がい福祉特化のAI研修「WelvieAI(ウェルビーAI)」の立ち上げも担当しています。