
01 / WHY NOW
生成AIを導入しても、使うたびに人が個別に指示を出す運用のままでは、業務全体の負担が減りにくいことがあります。そこで、目的と条件を伝えると複数の手順を段取りする「AIエージェント」という考え方も紹介されるようになりました。
介護分野では、厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する検討会」の中間とりまとめ(2025年4月公表)で、居宅サービス計画書やサービス担当者会議の議事録の原案作成に生成AIを活用することが、業務効率化の手段のひとつとして挙げられています。ただしこれは介護分野の議論であり、障がい福祉のサービス等利用計画や個別支援計画について、生成AIの利用が制度上認められたことを意味するものではありません。
出典:厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する検討会」中間とりまとめ(2025年4月公表)。本記事は更新日時点の情報です。最新・正確な内容は厚生労働省の原典をご確認ください。
この記事では定義そのものより、「福祉の現場で、どちらを、どこまで使うか」を決めるための考え方を整理します。AI活用の全体像は、障がい福祉でAIは何ができる?でも紹介しています。
02 / DIFFERENCE
生成AIは、指示(プロンプト)に対し、その場で文章・要約・下書きを返すものです。AIエージェントは、目的を伝えると、複数の手順を段取りして進めるものです。エージェントは生成AIを置き換えるものではなく、生成AIを部品として、手順の実行を組み上げた側にあたります。
| 観点 | 生成AI | AIエージェント |
|---|---|---|
| 指示の粒度 | その場の依頼 | 目的と条件 |
| 返ってくるもの | 文章や要約 | 複数手順の結果 |
| 手順を決める人 | 主に人 | 人が枠を決め、AIが段取り |
| 向く場面 | 単発の下書き | 定型の連続作業 |
| 人の関わり方 | 出力ごとに確認 | 途中の停止点と最終結果を確認 |
どちらを使う場合でも、AIが担うのは下書き・補助までです。記録や計画の最終判断と確定は人(有資格者・担当者)が行い、最終責任は作成者にあります。
03 / SCENE
以下はすべて架空の事例による整理です。支援記録・ケース記録の整文、申し送り・日報の要約、モニタリング記録の下書きは、1回の指示に対して文章を返す生成AI寄りです。一方、会議資料の下ごしらえから議事録の整形までを順に進める作業や、毎月決まった手順で繰り返す事務の段取りは、AIエージェント寄りです。
どちらにも任せない領域
「本人の意向をくみ取る」「支援の方向を決める」「計画を確定する」ことは人の領域です。AIの文章が自然でも、本人との対話や専門職の判断に置き換わるものではありません。
04 / JUDGE
出力を捨ててやり直せる作業か、外部へ出たら取り返しがつかない作業かを見ます。まずは外部送信や確定処理を伴わない下書きから始めます。
誰が原本と突き合わせ、誤りや抜けを確認するのかを先に決めます。確認者が決まっていない作業は任せません。
何を入れてよく、何を入れないかの線引きが先です。線引きが決まっていなければ手を出さず、情報の扱いを整理します。
人が説明できない手順は、AIエージェントにも段取りできません。作業の順番、判断条件、止める地点を人が書けるか確かめます。
手順が短く、やり直しがきき、確認者が決まっているものから始めるのが現実的です。
05 / RULES
福祉の記録には、障がいがある事実・病歴・診療情報などの要配慮個人情報が含まれることがあります。原則として生成AI・AIエージェントに入力せず、練習・検討は架空の事例(仮想ケース)で行います。実務で個人情報を入力する場合は、法人の承認だけでなく、利用目的の範囲、本人同意や第三者提供規制の適用、サービス提供者による入力情報の取り扱い、利用規約・プライバシーポリシー、安全管理措置を確認し、法人が定めた環境と手続きに従います。
AIの下書きをそのまま記録にしません。誰が、どの原本と突き合わせて確定するかを決めます。
手順を続けて進めるエージェント寄りの使い方ほど、どこで人が止めるか・どこまで進んだら人に戻すかを先に決めます。
「下書きはAIと。判断と支援は、人が。」
06 / START
WelvieAIは、障がい福祉に特化したAI研修です。2ヶ月・2時間×全8回=計16時間(完全オンライン)で、仮想モデル事業所のケース演習を通じて、受講者自身がAIへの指示・確認・運用ルールと業務改善の「型」を設計できるようになることを目指します。
プログラミング(コード開発)を扱うものではなく、株式会社フェアテクノロジーズが貴社専用ツールを制作・納品するものでもありません。母体の動画研修「ウェルビーラーニング」は全国1,000社・のべ20,000名以上が利用。グループで就労継続支援A型事業所・グループホームを運営しています。
障がい福祉に特化したAI研修「WelvieAI」の資料をご覧いただけます。
07 / SUMMARY
生成AIはその場の指示に文章や要約を返し、AIエージェントは目的に向けて複数の手順を段取りします。どちらを選ぶか以上に、やり直しの可否、確認者、入力情報、言葉にできる手順の4軸で、任せる範囲を決めることが大切です。
まずは、手順が短く、やり直しがきき、確認者が決まった下書きから始めます。本人の意向、支援の方向、計画の確定は人が担い、AIを補助として使う線引きを崩さないことが基本です。
本記事は2026年8月24日時点の情報に基づきます。制度・各サービスの仕様は変更される場合があります。AIの出力は下書き・補助であり、記録・計画の最終判断と確定は人(作成者)が行います。個人情報(特に要配慮個人情報)の取り扱いは、個人情報保護法および事業所の規程に従ってください。
08 / FAQ
プログラミングの知識がなくても利用できるサービスがあります。まずは目的、手順、確認点を言葉にできることが大切です。なお、WelvieAIはプログラミング(コード開発)を扱う研修ではありません。
手順が短く、やり直しがきき、確認者が決まっている下書き作業から、生成AIで始めるのが現実的です。複数の手順を安定して説明できるようになってから、AIエージェント寄りの使い方を検討します。
いいえ。AIが担うのは下書き・補助までです。原本との突き合わせ、支援記録の最終判断と確定は担当者が行い、最終責任は作成者にあります。
実在の利用者情報は使わず、架空の事例で試してください。実務で個人情報を入力する場合は、法人の承認に加え、利用目的の範囲、本人同意や第三者提供規制の適用、サービス提供者による入力情報の取り扱い、利用規約・プライバシーポリシー、安全管理措置を確認し、法人が定めた環境と手続きに従ってください。
対象業務を1つに絞り、入力してよい情報、確認者と原本、AIを止めて人へ戻す地点を決めます。架空の事例で手順を確かめ、うまくいった指示文を文書に残してください。
あなたの右腕、作りませんか。
任せる範囲を決めて、
確認と判断に集中しやすい現場をつくる。
障がい福祉に特化したAI研修「WelvieAI」。2ヶ月・2時間×全8回=計16時間(完全オンライン)で、仮想ケース演習を通じて、現場の業務改善を“自分たちで”進めるための基礎と実践を学びます。開講日程と受付状況は、開講スケジュールをご覧ください。
資料請求・無料相談はこちら人材開発支援助成金の制度概要をご案内します。当社は研修の提供と研修側書類の発行を行い、ご希望に応じて連携している社労士をご紹介します。対象可否・申請手続・最新の必要書類は、所管の労働局または社労士へご確認ください(令和8年度末までの時限措置。要件・審査があり、受給を保証するものではありません)。
この記事を書いた人
杉本 悠飛(すぎもと ゆうひ)
株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者
就労継続支援A型事業所「テクキャリ」 取締役
障がい福祉に特化した動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上の事業者・のべ20,000名以上の受講を支援。自社グループでは就労継続支援A型事業所「テクキャリ」の運営に取締役として携わり、制度対応と現場運営の両方を実務として経験しています。虐待防止・身体拘束適正化・処遇改善加算・運営指導対策などの研修コンテンツ企画を統括。2026年からは障がい福祉特化のAI研修「WelvieAI(ウェルビーAI)」の立ち上げも担当しています。